2024年03月05日
大熊さんのシネマ日記
☆ ケアハウスちどりで宿直パートをしている大熊さんの「シネマ日記」をお届けいたします。☆
「コットンテール」を観ました。認知症で亡くなった妻の遺灰を息子と共に英国までまきに行く話です。日英合作映画ですがほとんど日本映画。3月21日までシネマ・クレールで上映されています。
英国人監督は脚本も兼ねていて、他の日本人脚本家はクレジットされていなかった。8割は日本語だけど、おそらく全部監督が書いたのだろう。留学経験もある新人監督らしいが、言葉少ない頑固親父を、しかし、外ではそれなりにきちんと誠実な初老の男をきちんと描いていた。日本をよく理解していた。
リリー・フランキーと木村多江といえば「ぐるりのこと」(2008)である。それと真っ直ぐつながっているかといえば繋がってなかったが、それでも何処かで繋がっていたと思う。
妻の聡明だった頃の頭は、死んだ後の夫と息子のわだかまりまで正確に予想していて、わざと遺灰を英国に撒くことを提案する。ほとんど妻の思うままに行動する男2人。敵わない。
そして、家族の絆を思い出させるというテーマと、不器用な男2人というテーマは恐らく英国でも同じなんだろう。ほとんど日本と同じことが、遠く離れた国で同じく描かれることがとても興味深い。
(見どころ)
『万引き家族』などのリリー・フランキー、『ベルファスト』などのキアラン・ハインズらが共演した、イギリス、日本合作の家族ドラマ。イギリスにある「ピーターラビット」発祥の地に遺骨を散骨してほしいという亡き妻の願いをかなえようとする夫と息子一家の姿を描く。監督はパトリック・ディキンソン。『羊の木』などの錦戸亮、『東京島』などの木村多江のほか、高梨臨、イーファ・ハインズらが共演する。
(あらすじ)
兼三郎(リリー・フランキー)は妻・明子(木村多江)を亡くし、彼女の葬式で疎遠だった息子の慧(錦戸亮)と彼の妻・さつき(高梨臨)、その子供のエミと顔を合わせる。喪主にもかかわらず兼三郎が酒に酔う中、明子の遺言状の内容が明らかにされ、子供のころに愛した「ピーターラビット」発祥の地であるイギリスのウィンダミア湖に自分の遺骨を散骨してほしいという彼女の願いが明らかになる。イギリスに飛んだ兼三郎と慧一家だが、慧とけんかした兼三郎は一人で湖に向かう。
監督・脚本
パトリック・ディキンソン
2024年3月3日
シネマ・クレール ★★★★